オンザロード42「原爆の悲劇と向き合う」

原爆ドームの前に立った。思わず溜め息が漏れた。原爆の愚かさの象徴。人間の愚かさの象徴。この公園には外国人が多い。それは世界的愚かさの象徴であるのだ。原爆ドームの周りをぐるりと歩く。はだしのゲンを思い出しながら、僕も一瞬だけはだしのゲンになる。数十年前の惨劇を思う。
そして原爆資料館へ。もの凄い数の資料だ。もの凄い数の悲劇と同じ数だけ、いや、この資料も悲劇に比べればごく一部か。

広島市内のショッピングモールを歩く。大分歩き疲れた。

呉ポートピアパークに来た。ここはすでに廃墟と言った感じか。相当大きな、相当豪奢な建物であるが、こういった施設の生死が僕には分かるようになってきた気がする。理想は重要だが、理想論だけでは実らないのだ。
人の夢だって同じだ。理想は重要、でもそれだけでは実らない。なんだって同じか。理想は重要、でもそれだけではダメなんだ。
原爆は誰かの理想だったんだろうか。ああやって人を吹き飛ばすことも誰かの理想だったんだろうか。ああやって人が死んで行くことも誰かの理想だったんだろうか。後遺症に苦しむ人が数十年後の今もたくさんいることも誰かの理想だったんだろうか。・・・理想の先には想像力が必要だ。想像力なきものは、理想を語るだけにしておいた方が良い。