僕達の青春が解散をした

ラジオ番組にゲスト出演していたブルーハーツ。番組も終盤、締めの言葉に今後の予定を求めるパーソナリティー。求められたブルーハーツは一言「今後の予定は解散です」。もちろん、冗談だと思うパーソナリティー。けれどもヒロトが続ける「僕達が言うとなんで冗談にしか聞こえないんだろう。本当なんだよ」。とそこで番組は終わる。ブルーハーツの解散は、こうして唐突に(それは本当に唐突に)告げられた。
解散理由によく語られるのは河チャンの宗教のめり込み説だ。宗教にのめり込み過ぎ、ファンをも勧誘、ヒロトがそれに嫌気がさしたと。けれども、河チャンの参加しているものは宗教ですか?少し違うし、まぁ変わらないものなんて何一つないけど変わるスピードと方向が違いすぎたかなと。河チャンは解散宣言後、ブルーハーツの10年間よりも、その先生との出会いの方が、絶対的に重要と語っている。少なからずそれに当時の僕はショックを受けたが、今ではそれもそうかもなと思えている。
みんな忘れ去っていると思うが、ブルーハーツにはダグアウトの後に一枚、オリジナルアルバムがある。その名も「PAN」。それぞれが作った曲を、それぞれがレコーディング、それぞれが歌っている、もはやブルーハーツとは名ばかりのアルバムだ。中には良い曲もあるが、それを僕はブルーハーツとは思っていないし、ヒロト達ももうブルーハーツとは思っていなかったことだろう。僕はこのアルバムの名前「PAN」の意味を当時ずっと考えていたものだ。パーンと弾けて消えてしまったという意味かな、とも思ったが、僕の一番の有力説は次のものだ。
ヒロトは解散の理由を、ブルーハーツが僕のツールになってしまったから、と言っている。いつからかバントというよりも、僕の曲を表現するための道具となり、それが耐えられなくなった的なこと。ああ、ブルーハーツがパンになったということか。
「食うために生きるのか、生きるために食うのか」という言葉がある。これの「食う」に同義で、「パン」が当てはまると思う。例えば「パンの為に夢を捨てるのか」とか「パンの為に信念を捨てるのか」とか「パンの為に友達を売るのか」とか言える。ヒロトからすれば、ブルーハーツが「パン」になりつつあったのかなと。パンの為に、自分の中のロックンロールを捨てることはできなかったんだろう。