グレイシートレインが駆け抜けて行く

素手による「なんでもあり」の大会が始まった時、格闘技通信は丁度100号記念であった。その表紙に写った男ホイス・グレイシーを、当時日本で知る人なんて、まずいなかっただろう。第一回のアルティメット大会。8人によるトーナメント。素手による顔面への打撃あり、首絞めOK。参加者の中には日本でも有名だったウエイン・シャムロックやジェラルド・ゴルドーの名前があったが、優勝したのは主催者側の人間、聞いたこともないグレイシー柔術の使い手、ホイス・グレイシーだった。当時主催者側の人間の優勝、決勝で当たったゴルドーがタックルに膝を合わせなかったことなどから、八百長ではないかとの声もあがった。が、完全リアルファイトであり、続く第二回大会もリアルにホイスの優勝。この時には日本から市原海樹が参戦し(市原と僕とタイソンは誕生日が一緒です)、一回戦でホイスにチョークで落とされている。
しかもこの大会、「なんでもあり」というのが伊達ではなくて、第一回大会第二回大会位までの禁止技は、眼球への攻撃、噛みつき、金的、のみであったし、その次の大会からだったと思うが、うちの流派には金的がありそれが使えない為に負けたとのクレームに、金的までもOKになった。主催者いわく、噛みつきも別に使用しても良いと思うが、戦いが下品になってしまう為に禁止技としているとのこと。おお、バーリトゥード
無敵の強さを誇るホイスが、その兄であるヒクソンにはまったく敵わないと自ら言い切り、ヒクソンにはさらなる注目が集まる。そんな中での来日、シュートのリングで圧勝によるトーナメント制覇。格闘技通信は黒舟来襲と煽り立てた。
グレイシーは入場時チームで、前の人の肩に手を置き、その後ろの人は前の人の肩に手を、その後ろの人も同じように、と長い列を作って会場へと入って来た。世間はそれをグレイシートレインと呼んだが、今ではそれも見ないっす、ってか僕が見ていないだけか?。グレイシートレインはどこへ行った?