オンザロード86「この旅を終わらせることを決めたんだ」

ラストシーンを終えた僕は、旅を終えることを決めていた。旅を終え、僕は秋田へと帰る。それはまた違う種類の高揚感を僕に与えた。福島まで車を走らせ、缶ビールを一本飲んで眠ろうとしたが眠れず、何度も寝がえりを打つ羽目となった。ただ寝がえりを繰り返していたと思っていたが、最後に時計を確認してから、時間は一時間四十分経過していた。知らぬ間に少しは眠ったということか。
福島の道の駅安達で眠る。もうすぐこの旅は終わる。本当にこの旅が終わろうとしている。それはつまり、僕はまた別の何かを始めなければならないということだ。それはまた、途轍もなくエネルギーのいることのように思える。
三か月以上も旅をしていたように感じる。だが実際は一カ月と少しの時と言ったところ。時間は毎日ゆっくりと流れた。日々真新しい風景は、僕の心を惰性のままにはしておかず、常に意識を明確に呼吸させ続けた。
もうすぐこの旅が終わる。だが、まるで何事もなかったような気がしないでもないが