平野啓一郎の登場

平野啓一郎芥川賞を受賞した時、まだ京都大学に在学中であり、学生での芥川賞受賞は村上龍以来となった(石原慎太郎も大学の時に受賞している)。芥川賞にノミネートされる前、平野は新潮社の社長だったか編集長だったかに、手紙を書いている。新人賞には応募したくない理由が主な内容だったらしい。「それじゃあ作品を送ってきなさい」となり、平野が新潮社宛てに送ったのが「日蝕」である。「日蝕」はまぁお堅い文体というかなんというか、読んでもらえば一番いいのだがどれだけの勉強オタクが書いたのだろう、と初めは誰もが思うんじゃないかな。平野も言っているが、「牛乳瓶のふたのようなメガネ(牛乳瓶の底のことか?)をした奴じゃないかと、そんなコテコテの奴が来たらね」と。ところが、ところがですよ、芥川賞を受賞し、その受賞式に現れたのは茶髪にピアスの今どきの男の子。ピアスの穴は、可愛い看護師がいると噂の病院で開けたとのこと。文壇に新しい風が吹きました。
三島由紀夫の再来と言われたのは、好きな作家は?と聞かれ三島と答えたからだったが、再来というフレコミは三島ファンの反感を買い、平野が悪くはないのに少々バッシングを受けたとか。僕の感想としては、三島は天才だったが、平野は実力があるなぁと。
彼は頭が良すぎるのだろう、時折難しすぎて分からない時もあるが、彼に一番共感できたのは小説のことでも、思想のことでもなかった。一番共感できたことはこうだ。平野がテレビ番組トップランナーに出た時のこと。食についてはあまりこだわりがないことに触れ、次のように言った。「高級ステーキを食べた時のおいしいと、マックのハンバーガー食べた時のおいしいが、一緒のおいしいなんです」と。それ、それよく分かります僕もです同じです・・・・・。