吉田と伊坂、どちらを読むか

僕が必ず買って読む作家に、吉田修一伊坂幸太郎がいる。ただし、単行本では買わない。値段が安いので文庫化されてから買う。
どちらも確かに面白い。伊坂幸太郎の作品は、実に見事に仕上がっている。どれだけ積み上げられたプロットがあるのか、謎が謎を呼んでも、最後にはパズルのワンピースがピタリと納まるように、物語も見事に納まる。昔読んだマンガ「モンスター」のような感じだ(モンスターについてはいずれ触れます)。面白いだけなら吉田より伊坂か。ただ僕には少し物足りない。何が物足りないか、それはうまく説明できない。ただ僕の性質の問題だと思う。吉田の作品の方が読んでいて心が満たされる。吉田は芥川賞系、伊坂は直木賞系、つくづく僕は芥川賞派なんだろう。芥川賞派の僕が読むんだから、逆にそれだけ伊坂の作品は面白いんだとも言える。それでも僕は吉田派だが。
伊坂の作品で以前話題になった「終末のフール」を、僕は良いとは思わなかった。あれだけの話題作、けれども僕には良く分からなかった。ただ、同時期に発売された「砂漠」は良かった。伊坂の小説なら「砂漠」、そして「魔王」が好きだ。
吉田の作品は全部良いが、特にと言われれば「悪人」とか、「東京湾景」かな。いずれにしても、僕が今読んでいる本は伊坂の「モダンタイムス」だ。