爆弾野郎走る時

僕の兄貴はよく歌を唄っていた。風呂場で、トイレで、車の中で。小学生の頃、僕はその兄貴の歌を聞いて、曲を覚えた。良い歌だなぁと思えば、「その歌なに?」って感じで、兄貴がCDを持っていればカセットテープにダビングしてもらった。ブルーハーツはもちろん、エコーズ、プリプリ、バクチクなんかもダビングしてもらったなぁ。それを擦り切れるほどに聞いたものだ。
兄貴が唄っていた歌の歌詞で、「爆弾野郎走る時〜」という歌詞があった。カッコいい歌詞だったし、メロディもカッコ良かったのですぐにダビングしてもらった。僕もメロディを覚え、唄った「爆弾野郎走る時〜」と。
その二年後かな、僕は中学に上がり、コンポを買い、そしてとうとう「爆弾野郎走る時〜」という歌詞のあのカッコいい歌のCDを買った。そして歌詞カードを見てビックリした。その曲の歌詞に「爆弾野郎走る時〜」という部分はどこにもなかったのだ。本当は「爆弾が落っこちる時」という歌詞だったが、兄貴は歌詞カードを持っておらず、そのように聞こえた為、何の疑いもなく「爆弾野郎走る時〜」と唄っていたのだ。そして僕も二年間、「爆弾野郎走る時〜」と唄い続けて来たという分けだ。思い返すと恥ずかしいけど、そんな時代でした。
高校卒業後、結成したバンドで、僕達は「爆弾野郎」というタイトルの曲を作った。もちろんサビの歌詞は「爆弾野郎走る時〜」というもの。これの出だしの歌詞(Aメロ)が、「安心なんて求めていない、安定なんて欲しくもなくて」というカッコいいものだったが、ライブを観に来た同級生が、当時この歌詞に影響を受けて、東京へと旅立っていった。兄貴の感違いがなければ、その同級生もまだこの街にいたかな?。そういうIfは好きではないと昨日も言いましたが、今日も言いたかっただけです(笑)。

大分後になって気が付いたことだけど、「爆弾野郎」って英語にすれば「ミサイルマン」(笑)。