アホな友達の卒業文集

中学の同級生で、高校で離れ離れになった友達がいた。高校に入ってからはしばらく疎遠になっていたが、高校三年生の夏ごろから再び遊んだりするようになっていた。その日もたむろしていて、たまたま話の流れから、僕は「ガラスの天井」について説明することとなった。
「空を見上げればそこには何でもぶら下がっている。欲しいものも、なりたいものも。手を伸ばせばなんでも簡単に手に入りそうであり、何にだってなれそうな気がしてくる。けれどもいざ実際に手を伸ばしてみると、僕とその欲しいものの間にはガラスの天井があって、僕の手は欲しいものを掴むことはないという分けだ。」
僕が説明し終わると、その友達はいたく感動していた、大袈裟なほどに(というか完全に大袈裟に)。その友達に辻仁成の本「ガラスの天井」の存在を教えると、彼はすぐに買うと言い出した。そう言えば中学時代から彼はすぐに影響を受けるタイプだった。中学生の時に、僕が作詞している事を告げると、彼はいたく感動し(もちろん大袈裟に)、理科の授業中ではあったがすぐに作詞し始めた。すぐに行動に移すのは良いのだが・・・・。その作詞の内容。

今地球は危機におかされている
オゾン層の破壊
大気汚染 自然の絶滅

と言った超大袈裟な内容です、もちろん。
それで、「ガラスの天井」に話を戻すけれども、高校の卒業文集でアンケートみたいなのがありますよね、それに愛読書は?と言う質問と、尊敬する人は?と言う質問があったんだけど、見てビックリ。愛読書の欄には「ガラスの天井」と多分読んですらいないのに堂々と書いている分けですよ。買ったには買ったが、二三ページ捲って止めているはず。で、尊敬する人物の欄にはこれまた堂々と、なんと・・・・「辻人成」と書いている分け。「辻仁成」なのに「辻人成」と書いている・・・・尊敬する人物の名前の漢字を致命的に間違えていて、お前絶対尊敬していないだろうと。本も読んでないだろう、テメェくらいの勢いで僕は思いました。そんな彼も今では二児の父親です。