ヘッセは少年のうちに読め

19歳の冬、秋葉原の書店にて、ヘルマンヘッセの「車輪の下」を買う為にレジに並んでいた時のこと。海外文学を買う為に並んでいる自分に、少しナルシ感ありの僕。でもその陶酔を一気に吹き飛ばすお客が一人。隣のレジに並んだ中学生はなんと、マルクスの「資本論」を買っていたのだ(しかも一年生ぽかったなぁ)。マルクスの「資本論」って・・・・・。僕は完全に負けた気がした。読書に勝ち負けはもちろんないけれど、確かな敗北感をガキンチョからいただきました。

ヘッセのことは、女優の中谷美紀も好きだと言っているが、僕も大好きな作家だ。「車輪の下」「デミアン」「知と愛」「メルヒョン」「シッタールダ」などなど、皆素晴らしいものばかり。僕は19歳で初めてヘッセを読んだが、本当ならばヘッセはそれこそ中学生くらいの時に読めれば一番良いのかもしれない(何が?と問われれば答えられないが)。文学少年の小説というイメージが僕にはある。「車輪の下」のイメージが強すぎる為か?・・・・分からないけれど。
ヘッセは少年時代、神学校に通っていたが、「詩人になるか、でなければ何にもなりたくない」と言って、そこを脱走している。まるでハックルベリー・フィンの名言のようだ。