アインシュタインVSモーツァルト

ずっと前にテレビで、アインシュタインモーツァルトはどっちが天才か?、というのをやっていた。司会者と、その他に大学教授みたいな感じの人が二人出ていて、VTRを交えながら意見を述べ合って行くという内容だったと思う。その問いがすでにナンセンスではあるが、そこを飛び越えての面白さが確かにあった。もともと比べられない異種のもの。アントニオ猪木がやって来た異種格闘技戦のようなものだ。どうなるのだろう、という期待と、茶番を同時に持ち合わせているような。
話を進めていく中で、片方の大学教授が言った。
「どちらも間違いなく大天才であるが、ただアインシュタインが切り開いたことはアインシュタインがやらなくてもいずれは誰かがやっただろう。だがモーツァルトの音楽はモーツァルト以外はその後何百年経っても誰も作れないものだろう」。だからモーツァルトの方が天才じゃないか的なニュアンスだった。
すぐに僕は反論した(テレビには出ていないのでもちろん心の中で)。アインシュタインがそこで発明したから、今の世界があるのだと。例えばアインシュタインの存在がないものとして、その10年後に誰かが同じような発明をしたとして、それはまったく違う世界を作ることになると思う。言い換えれば別の地球を。アインシュタインが今のこの唯一無二の地球を作り、現在七十億人のすべての人々に、与えた影響は果てしなすぎるだろう。それはモーツァルトの影響の比ではないはず。
だが、モーツァルトは間違いなく大天才だ。名だたる音楽家の中でもその天才ぶりは抜きん出ている。・・・・・だからこの問い自体がナンセンスなのだ。でも人間は、ナンセンスが好きだったりするものだからなぁ。
それで判定は、ノーコンテストということで、やっぱプロレス的終わり方です。