あるベートーベンのように

僕の小学校の音楽室には、音楽家たちの肖像画がズラリと貼られていたが、それは多分どこの小学校も同じだったのではないだろうか。
ある時友達が、ベートーベンの肖像画を見て、別の友達の父さんに似ていると言い出し、それ以後その友達の父さんはベートーベンと呼ばれることとなった。ある年の夏休みに入るとベートーベンは(友達の父の方ね)、その友達に「読書しろ」と言い、本屋に連れて行ってくれてマンガを20冊くらい選ばせてくれたとか。僕はそれを聞いてすごく羨ましかった。好きなマンガ20冊、小学生が選び放題ですよ。まるで夢のような話。羨ましかったなぁ。「読書しろ」と言い、マンガというのもスゴイ発想というか間抜けというか。僕もいつかベートーベンのように(友達の父のベートーベンね)なろうと思った分けです。
ということで息子よ、その日が来るまで何を選ぶか想像して興奮して夢見心地でいなさい。僕はそれまでにお金を貯め、母の理解を取り付けているよう頑張ります。あるベートーベンになるために。