オンザロード1「そうだ、日本へ行こう」

十代も後半、いわゆる思春期と言うやつに、僕は思った「せっかく生まれて来たんだから世界のすべてを見てみたい」と。例えばマチュピチュ、例えば万里の長城、例えばサクラダファミリア、例えばピラミッド。まだまだまだまだまだ全部、この世に生を受けたからには、見なければいけないと。漠然と考えていた、いずれ、と。いわゆる思春期に、十代の後半に。
それからいくらかの時が過ぎ、ある日たまたま見ていた「笑っていいとも」。その日はゴールデンウイークの始まりで、そのことについてタモリと関根さんがしゃべっていた。ゴールデンウイークに海外旅行へと出掛けていく人々についてだった。

タモリ「休みって言えばすぐに海外へ行きたがる」
関根さん「そうですよね」
タモリ「休みなんだから休めって」
関根さん「休みは、休む。正しい日本語です」
タモリ「そもそも日本も大して見ていないのに海外なんだよね」
関根さん「確かにそうですね」
タモリ「まずは日本を見てからにしろって」
関根さん「確かに。ボクシングだって日本タイトルを獲らなければ世界には挑戦できない分けですから」
タモリ「ねっ」
関根さん「中には東洋もはさむ人がいるくらいですから」
タモリ「ねっ」

まぁ正直この会話は、大分僕の創作です。記憶が薄れ過ぎて・・・・でも内容はほぼ正しいと思う。
まぁ彼らの話は半分ジョークだろうけど、それを知っててまともに取った分け、二十歳位の僕は。
そうか、世界を見る前に、日本を見なければ。中には東洋もはさむ人がいる位なんだから。よーし、まずは日本を車で廻ろう。知ってはいてもまだ見ていないものはたくさんある。原爆ドーム鳥取砂丘厳島神社など、教科書やテレビで知ってはいても、見たいのに見ようともしていなかった。よし、そうしよう。日本を見よう。そう考えた、ここに来て結構リアルに。
ということで、まずは現実的にお金、旅資金。その時で僕は、ある程度の貯金があったように思う。だがそれを旅資金にはしようとは思わなかった。新たに発生させたお金で旅に出ようと、僕は五百円玉貯金を始めた。満タンに貯まれば五十万円になるという有名なアレ。日本を廻るのにどれだけのお金がかかるのかは分からなかったが、まぁ五十万あれば十分だろうと。これが満タンになったら旅に出ようと。僕はしかも、通常の貯金と並行してそれを貯め出した。結構こまめに、なるべく財布の中の五百円玉は使わずに持ち帰り、貯金箱に入れた。それでも中々重くはならない。そもそもこれを満タンにした人を僕は知らない。

つづく・・・・・。