オンザロード4「車の中に寝床を作る」

僕はまず会社に辞表を出した。その頃には僕は、会社でもかなり態度がでかくなっていたため、所長は僕が辞めることを「困った」と言いながらも少しホッとしているようでもあった。
会社ではすぐに求人を出した。不景気もあって、十五人ほどの応募があり、面接によりすぐにその一人が決まった。それから一カ月、僕がその新人に仕事を伝授したが、辞める人間が教えるのもいかがなものか?と思った。
新人に旅に出る為に仕事を辞めることを告げると、何かプレゼントさせてくれと言うので、そいつが持っていた矢井田瞳のCDを貰うことにした。僕はこの旅の間ずっと、エンドレスでこのアルバムを聴き続けた。
所長からは車用の小型テレビを貰った。だいぶ型の古いものだったが、僕はその貰いものを喜んだ。旅に出れば、車で過ごす時間は膨大なものとなり、やはりテレビは絶対に必要だと思う。
僕は旅の間ずっと、車の中で眠るつもりでいた。その準備。車の運転席と後部座席の間に、カーテンレールを取り付け、カーテンを掛けた。運転席以外の窓ガラスには濃いめのスモークを、友達に頼んで張ってもらった。二列目以降のシートは取っ払って布団を敷こうと思ったが、それはどうやら違法であるらしくタカタクに止められた。それで仕方がないから、後部座席を全部平らにして、その上に布団を敷くことに、ベットみたいでこれはこれで良い。これで眠る体制は整ったという分けだ。
出発は金曜日に決めた。その前日、木曜日には我らがハイロウズのライブがあり、友達数名で観に行くことになっていた。景気づけにハイロウズはピッタリ、テンションハイのまま翌日出発という計画。けれどもその木曜日、僕は朝からせき込み、発熱してしまった。