オンザロード16「鳥取砂丘で出会った昔の僕達」

早朝から僕は鳥取へと車を走らせた。向かうはもちろん鳥取砂丘。僕の憧れていた場所だ。真島の歌や辻の歌にも出てくる砂丘。まさに異次元的空間。教科書の写真で見て知った時、それはまるで僕とは交わることのない場所のように思えた。鳥取砂丘という遠き物語とでも言おうか。それは遥かに遠かったが、僕は今そこに立つ。
時間も早すぎ、向いのお土産ショップもまだ開いていない。多分この駐車場も有料なはずであったが、駐車場の社員はまだ出社前、僕は無料でそこに車を止めた。
眼前に広がる砂丘は思った以上に大きかった。砂丘の奥には海があり、大きな砂浜にも見えなくはないが・・・・。ずっと歩いて行くと山になっていて、金髪の若いお兄ちゃんが二人(19歳くらいかな)、段ボールをソリにして滑り下りて遊んでいた。二人はとても仲が良さそうだった。多分昨夜からブッ通しで遊んでいて早朝砂丘へと来たのだろう。昔の自分達もそうだったから、懐かしく思えた。と、そこで片方のお兄ちゃんに話しかけられた。「写真撮って貰えないですか?」。鼻、耳、口にピアスぎっしりのわりには礼儀正しく、僕はもちろんOK。そして僕もカメラを渡し、一枚撮ってもらった。「どこから来たんですか?」と僕。「岡山からです。どちらからですか?」とお兄ちゃん。「秋田からです。旅の途中です」と再び僕。「そうですか。岡山にもぜひ来てください」と再びお兄ちゃん。僕とお兄ちゃんが話している間、もう一人のお兄ちゃんはずっとソリで遊んでいた。彼らの姿は、まさに数年前の僕らの姿だった。19歳はまだ色々と許される年齢だ。それに引き換え27歳目前の僕は、もう色々と諦めなければならないところまで来ているのかも知れなかった。それなのに鳥取砂丘なんかにいて、アホみたいに旅をしている僕。・・・僕という不可思議な私。
その後鳥取市内にあるわらべ館に行ったのだが、ここがメチャメチャ良かった。飾られているおもちゃも良かったが、一階のわらべ歌の切り抜き風景には最高級に感動した。わずか五百円の入場料に、倍くらいは払ってもいいかなと思わせてくれた。
お昼には道の駅の一号店と言われる道の駅大栄にいた。ここは名探偵コナンの作者の出身地で、コナンの街と呼ばれているらしい。コナンの銅像ももちろんあり。
そして次に訪れた場所で、よく晴れた午後の日に僕は、妖怪に出くわすこととなった。