オンザロード21「ミサに震えが止まらない」

翌日は朝から雨だった。結構強めの雨も、僕はめげずに雪舟庭園へと出掛けた。しかし雨は強まり、それに持ってきたつもりの傘が見当たらない。仕方がないから外を歩くのを諦め、コインランドリーにて洗濯をしながら、雨が上がるのを待つことにした。
ハイロウズの「コインランドリー」と言う曲が、コインランドリーにて洗濯を待ちながら出来上がったことが容易に想像できる。外で洗濯をするということは、確かに軽快な感じがする。僕も一つ、と曲をイメージしてみるも「コインランドリー」を越える洗濯の曲は作れそうもないから諦めた。
それにしても洗濯も結構お金がかかる。だから僕は、少しでも洗濯の回数を減らせるようにと(まとめて洗う)、パンツや靴下を重ねて購入していた。長い目でみた場合その方が得だと思い・・・・。
洗濯が終わり、山口ザビエル記念聖堂へと移動。聖堂を覗くとミサが行われており、その光景にいたく感動してしまった僕。覗いている間体の震えが止まらなかった(特に右足)。僕はずっと震えながら、体の隅々まで沁み渡る感動を噛みしめていた。ただ、聖堂の中へと入る資格が僕にはないように思われ、外から覗くばかりでそれ以上は進まなかった。今日は日曜日で、どこの教会でも通常ミサが行われているとのこと。
帰りに売店に寄り、かなり迷ったが木製のロザリオを買った。3400円。ドイツの一刀彫で掘られたものだ。いかにもキリスト教徒とは縁遠いような風貌の僕に、売店のおばちゃんは「お祈りの仕方わかります?」と不愉快そうに聞いてきた。多分お土産気分で買った僕のことを、本物のキリスト教徒としてオモシロくなかったのだろう。まあ、それは仕方がない。ただこの旅のテーマの一つは、実はキリスト教を巡るだった。遠藤周作の小説を読み漁っていた当時の僕は、どうしても五島列島が見たかったし、遠藤周作記念館に行きたかった。
そしてその遠藤周作記念館と同等レベルの目的地としてた場所が、中原中也記念館だった。「詩のボクシング」という競技があるが、毎年NHKでテレビ放映されており、その時必ず中継が繋がるのが中原中也記念館だった。山口県山口市、秋田にいてテレビの中に見るその場所は遥か遠き場所のように思えていた。が、僕は今そこに立った。