オンザロード22「本州の西にて秋田県人魂の邂逅」

中原中也を知ったのはテレビドラマだった。僕がまだ子どもだった頃、三上博史主演で、中原中也の生涯を描いた物語がテレビ放映された。子どもながらに面白いと思った。そしてドラマ中何度も出て来た詩が、途轍もなくカッコ良かった。「汚れっちまった悲しみに」、メチャクチャ良い詩ですね、いまさら言うまでもなく。それに中原中也三上博史は顔が似ている。それで選ばれたのかな。とにかく似ている。あのドラマ再放送してくれないかな。
というところから始まり、僕は中原中也のファンになった。この街には記念館ばかりではなくて、中原中也を記すものがいくつもある(例えばマンホールとか)。街を歩きながら、僕も詩人になる。本当にここに来ることが出来るなんて、まるでメタファーが僕をここまで連れて来たかのようだ。
つづいて秋芳洞に来た。神秘的空間。その光景は美しいが、閉所恐怖症の僕は正直若干恐かった。そこに入る時カメラを忘れ、少し後悔。
その後秋吉台へ。雨が降っていて、秋吉台は泣いているかのように。
その日は道の駅おふくで入浴。夕食にラーメンをと思い、ラーメン屋に入ろうとするも、ラーメン屋の前に大きな犬がいて、犬が苦手な僕は入れず、結局弁当を買い、缶ビールを一本飲んだ。
その夜、道の駅菊川を寝床にしようと車を止めていると、隣に止めた車のオヤジが、何度も僕の車の方を見てくる。「なんだオヤジ」と思っている僕に、そしてらそのオヤジ近づいてきて・・・・・なんとそのオヤジは秋田の人間とのこと。確かに車を見ると秋田ナンバー。オヤジ曰く、こんなところで秋田ナンバーにあったのは初めてとのこと。それでとても感動している様子。話を聞くと、仕事で高校を廻り、部活動で使う器具を販売して歩いていて、年に五度ほど九州まで来るとか。僕の地元を告げると、○○工業高校にも行っているとのこと。オヤジ、僕もこんなところで秋田県人と会えて嬉しいぜ。そしたらオヤジ、ぜひ一杯お茶をごちそうさせてくれと、自分のポットのお茶を紙コップに入れて僕にくれた。ありがとう、オヤジ、ありがたく頂くぜ。
オヤジも明日には九州に入るとか。オヤジ、僕も明日には九州だぜ。