オンザロード27「長崎の雨に打たれて」

旅に出る少し前、ハウステンボスが倒産したとのニュースが流れた。「へぇー、ハウステンボスも倒産なんてあるんだ?」と不思議に思ったものだった。僕はまだ今よりも、世の中の仕組みに無知だった。
そして訪れたハウステンボス。普通にやっていたので逆にビックリした。それにしても立派すぎる建物の数々。生い茂る植物。維持するだけでも確かに大変そうである。その僕の感想の通り、かなりの従業員の数。正直お客より多かった。これでは経営難で当然である。それにやっぱディズニーランドとは違って、一度来ればもういいかなぁと言うのが正直な感想かな。
その日の昼は長崎皿うどんを食べた。まあまあといった感想も、これもまぁもうイイかな。
ド・ロ神父記念館へ来た。こじんまりとした記念館。そこへと続くド・ロ神父が歩いたとされる畑道は、雰囲気があって実に素敵。記念館も温かみがある。是非もう一度訪れたい。ハウステンボスより大分質素な記念館に。
そしてやって来た念願の遠藤周作記念館。海辺に佇むその姿は、その日の雨に濡れ、まるで泣いているかのようだった。生憎の天気に五島列島は残念ながら見えない。神様が沈黙したとされる海の、波音だけが荒々しく響いていた。それにしてもこの地域の墓石には驚かされた。全てが十字架なのだ。まるで異国の風景。海辺の丘に突き刺さる十字架の形。
夕方僕は長崎市内にいた。強まる雨脚。ずぶ濡れになりながら、平和公園へと歩いていた。少し前には長崎原爆資料館にいて、中学生の修学旅行生に紛れて、その悲惨さに胸を痛めていた。
それにしても強い雨。靴はもはやずぶ濡れで、濡れた靴の中で足は靴擦れを起こし痛かった。土砂降りの空を見上げた。僕を撃つものは原爆ではなく、僕を打つものは土砂降りの雨だった。「長崎は今日も雨だった」と口ずさみながら、長崎の彼方に僕は迷子になった。