オンザロード28「オデッセイに名前を付ける」

旅に出てから随分長い日数が経ったような気がしているが、実際はまだ二週間行かない位かな。感覚的にはもう一カ月以上は過ぎたように思う。毎日違うものを見て、毎日違う刺激を受け、僕の感性は常に研ぎ澄まされた状態にあるから、惰性の入る隙間がない分、時を確実に感じているのかもしれない。
それにしても、愛車オデッセイは頑張ってくれている。ワイパーだって冬用ワイパーだし、タイヤなんてスタットレスタイヤのままだ。スタットレスタイヤで九州にいる不思議。この街に突然雪が降り出しても僕の車は大丈夫。
駐車場でいつも僕の帰りを待ってくれているオデッセイ。夜は眠る僕を守ってくれているかのように。まさに旅のパートナーだ。この車に生命を感じてしまう。動物的生命。そうだ、このオデッセイに名前を付けよう。さて何にしようか。・・・・・(一分経過)・・・・・小説「路上」にちなんでジャックケルアック号というのはどうだろうか。いや、それならばサルパラダイス号の方が良い。そうだ、今日から君はサルパラダイス号だ、どうぞヨロシク。
関係ない話だけど、僕の所属する友達で作った野球チームの名前は「ライヤー」という。最初タカタクが「アナーキー」が良いと言ったんだけれども、僕がなんの気なしに「それならライヤーが良くない?」と言ったところ、「それいいね」とタカタク即賛同。めでたくチーム名は「ライヤー」となった(キャプテンの蔑称がフィクションということとも絡んでいる)。でも本当は僕は、野球チームの名を「サルパラダイス」にしたかった。サル達の楽園という意味ももちろんだが(僕の友達は皆サルみたいだ)、小説「路上」の解説で語られているように、サルパラダイスという主人公の名前は「サッドパラダイス」から来ているのではないか?という疑問のもと、僕らのこの野球チームという集合体も、重過ぎる時の流れに流されてしわぬように寄り添い合う悲しき楽園に思えて仕方がなかったからだ。退屈に、寂しさに、重き現実に、惨めに寄り添い合うサル達。
ということで、野球チームのことは今は関係ない。サルパラダイス号よ、それでは再び出発しよう。目指すは夢の続きだ。