オンザロード31「キリシタン墓地は強い風」

土砂降りの雨は上がっていた。強過ぎる風が、木々の葉の揺れる音を、どこまでも響かせているだけだった。僕はキリシタン館に来た。強過ぎる風に突っ伏しながら、キリシタン墓地を見た。
十字の墓石が丘の上に等間隔で並んでいた。そこにもキリストはいて、全ての景色を見渡していた。そこでは僕もキリストの見る景色の一部だった。キリストの見る一部となって、世界の一部にそのキリストを見た。世界は一部の中に属していた。僕が見たキリストが、僕を一部に変えた。そして世界に・・・・。全てが一部で、一部が全てで、それらは無数に存在しており、だが結局は一つでしかないという事実。僕らは円の中にいて、四角を思っている生き物。生き物という景色。景色は生きていて、まるで動かないかのようだ。明日が今日であるように、今日が昨日で、昨日はまた明日。世界は円で、世界は四角。世界はキリストであり、キリストは僕であるのだ。まるで、一部が、円であるように。円がまた景色であるように。僕は世界を見る。僕は僕を見た。世界が僕を、世界が一部を。

今日は道の駅ありあけで眠る。素晴らしい景色の、素晴らしき道の駅だ。ただ、雨は駐車場を埋め尽くしていた。水たまりは流れ、小さな海を形成していた。
不意に携帯電話が鳴った。仲良くなったばかりの友達からだった。