オンザロード33「霧島の森の深さ」

本日の寝床を、道の駅霧島に決めた。深い、それは深い森の中にある、まるでおとぎ話のような景色の中にある道の駅だ。それにしても九州の森は深い。その深さは、東北の森を遥かに凌駕するように思える。九州と言えばどちらかと言えば海のイメージで、東北の方が山のイメージ。でもそれは、明らかに間違っていたことを、この景色を目にして思い知る。
そんな深い、おとぎ話のような森の中で、不思議なことが一つ。この道の駅に入ると、和歌山のキャンピングカーが止まっていたのだが、なんとこれで三日連続一緒になったのだ。同じ道の駅を寝床にしたということ。つまりは、同じペースで旅をしている事になる。それにしても、なんたる偶然。それはどんな確率なんだろうか。かなり天文学的数字に思えるのだが。
その他にも、ワゴン車で旅をしている老夫婦が二組。彼らは仲間であり、バーベキューなどもしていたのだが、それはとても素敵なことのように思えた。老後に妻と旅。友達夫婦と。九州の地を。それはやっぱり、とても素敵なことだ。
その後僕は、少し離れた温泉まで足を伸ばした。そこは泥湯で、僕は泥まみれになった、もちろん。それにしてもかなり良き雰囲気の温泉。天狗でも出てきそうな森の中で、僕は泥の湯につかりながら星を数えているのだ。これほどの優雅さがあるだろうか。そう言えばここ霧島は、天狗の里と呼ばれているのではなかったか。本当に、天狗でも出そうな夜だ。
次の日早朝、僕は霧島神宮にやって来た。ここは本当に広い。そして早朝から参拝者の多いこと。誰もが気持ちのいい、清々しい朝を感じている。僕は自分のことを夜型人間であるとずっと思って来たが(それは偽悪的に)、どうやら僕は朝方人間であるのかもしれない。朝は強いし、それに早起きの、まだ皆眠っている中で動き出すこの感じ、好きだねぇ。
そしてサンメッセ日南へ。そこにはモアイがいる。