オンザロード39「旅に出る前、僕は初めての投票に行ったんだ」

九州を抜け、防府天満宮へとやって来ていた。僕は旅に、少しだけ迷っていた。記念館は、本当に興味のある場所にだけ行くべきなのかもしれない。ちなみに僕は、この旅で神社に興味を持った。日本の、神を祀る建物。それはとても深そうだ。
そのあと、キツネにつままれたような景色の連続で、かなり参った。道の駅にしきピュアライン。毎日眠る場所に苦労している。ピタリと決められれば良いのだが、決まらず、なかなか辿り着けずともなれば、かなり疲労するし精神的にも結構やられてしまう。

当時の翌朝のメモ帳に記されている事。
「4月30日(水)AM6時15分、空は曇っている。天気予報は50%の雨を告げていた。僕は今月の12日、初めて選挙の投票に行った。今までなぜ行かなかったのか、理由は色々ある。まず、選挙を戦いと思っている姿勢が許せななかったのだ。選挙が終われば戦いが終わってしまったような、本当の戦いはその後じゃないか。そして第二の理由は選挙権は権利であって義務ではないと言うことだ。確かに昨今、投票率の低下は著しいのであろうが、しかしやはりは権利は強制されるべきではない。強制される権利は自由意志の死である。第三の理由は、選挙の投票を社会参加と捉えて、僕はまず自分の自己同一性を持って社会参加したかったのだ。投票はその後と考えていた。理由はまだ他にもある。しかし今回僕は投票に行った。その理由は、これらの行かない理由がアホらしくなったからだった。友人に投票を頼まれ、最初はそれを拒んだが、僕は思いなおして役所へと向かった。投票前の世界と投票後の世界は、少しだけ違っていたが、その差異は数分で中空へと霧の如く消えた。何年もの依怙地が・・・・。」