あの日からもうすぐ二カ月

アレから二カ月近い時が過ぎた。トーナメント半ばでで敗れたあの日。わずかワンゴール差の惜敗。僕達は何に敗れたんだろうか。数年間、日々必死で練習を重ね、そして点数では負けた。だが・・・・・ひどいジャッジ。ひど過ぎるジャッジ。僕達が敗れたのは相手チームからだろうか。それとも天の何かからだろうか。十点は勝っていたと思う。ビデオを見返しても分かるが、どこがファールだったんだろうか。何度も、何度も、そしてまた何度も。観客席、ビデオ撮影の横で叫ぶ女の子の声が、心の痛みを助長する。8歳の少女の声「ファールじゃないよ」。少女は何度も叫ぶ。時には本当のファールもあった。時には微妙なプレーもあった。だが、明らかに、ファールではないファールが多過ぎた。一度位ならジャッジミスもするだろう。少女は叫ぶ、何度も、何度も、また何度も「ファールじゃないよ」「ファールじゃないよ」「いまのファールじゃない」。観客席の空気が一人愚痴る「これじゃディフェンスできないじゃないか」と。
ラスト数分の必死のプレーを見ていると辛い。リードを許していることからの焦りから生じる形相は、まるで会場全体を食わんばかりだった。ただ、それをあざ笑うかのように簡単な審判の笛。「ファールじゃないよ」とまた少女の声。ラスト二秒のドライブ。フリースローの一本目を外すと、その人は天を仰いだ。そして終了の笛。泣き崩れ、泣き崩れ、立ち上がれない僕達。
僕達はその試合を最後に引退をした。あの審判も引退したんだろうか。あの審判は僕たち以上に、日々練習をしていたんだろうか。