オンザロード84「ラストシーンはすぐそこ」

21歳の秋、僕は再び上京した。東京足立区での新生活、今度は本当の上京だった。
東京に住み始めて数か月、僕はかの地を訪れた。そう、埼玉県八潮市だった。僕はとりあえず電車で松戸へ。そして松戸からバスに乗り三郷市へ。そこから歩いて八潮へ。僕はとりあえずスズサンに会いに行った。その頃スズサンは資材置き場の仕事を辞めていて、何をしていたかというと競馬の予想会社をやっていた。競馬の専門誌でチョット時の人となったスズサン。借家に若者と住んでいて、そこで競馬の予想を売っていた。スズサンは20万馬券なんかを的中させて、感謝の手紙なんかも貰っていたようだった。そして20万馬券を当てた法則を作ったのが、あの頃のスズサンと僕と友達の3人だったのだ(ちなみにスズサンはその馬券は買っていなかった)。スズサンはその法則の本を出版し、さらに新たな法則の2冊目まで出していた。
そして資材置き場へ。みんなあの頃と変わっていなかった。サトサンも、トササンもあの頃のままだった。ただ、ここの資材置き場はいずれなくなると言うことだった。線路がここを通るらしいのだ。
夕方までいた僕は足立区へと帰る為、戸ヶ崎の操車場のバス停でバスを待っていた。そしたら止まったバスから一人、まるでホストそのもののような若者が下りて来た。よーく目を凝らして見てみると、あの頃毎日通っていたコンビニの、アルバイト高校生ではないか。心底ビックリした。やはや人は変わる。若者ならなお、かな。