クロマニヨンズを語る(「CAVE PARTY」編)

クロマニヨンズのセカンドが出た時、「これはきたねぇ」と思ったものだった。これほどのアルバムが出来たからこそ、彼ら自身もファーストアルバムを軽く否定出来たのだろう。ファーストとセカンドにはそれほどの違いがあったと思う。僕はこのアルバムを毎日、入社したての会社へと向かう通勤の車の中で聴いていた。入りたてで一番の下っ端で、覚えなければならないことは山ほどあり、それに苦戦しながら先輩からは軽く扱われ、そんな場所へと向かう憂鬱な通勤の車の中で繰り返し聴いた。「むしむし軍歌」はますます僕を憂鬱な気分にした。今聴いてもあの頃を思い出して重い気分になる。それ以外の曲はある程度は元気づけてくれた。ただ、やっぱり少し憂鬱なイメージのアルバムだ、本当はそんなこと全然ないんだけど、当時の僕自身の状況のせいで。
「ギリギリガガンガン」は映画「ワルボロ」の主題歌になった曲だ。ところでこの映画、ゲッツ板谷の原作であることは有名であるが、実に面白い。コテコテのヤンキー映画なんだけど、そのコテコテさ加減が堪らないし、面白い。なんと言っても主演の松田翔太はいい俳優だと思う。兄の松田君よりも、父親の血を色濃くひいていると思う。出てくるライバル達も個性的で良かったなぁ・・・・。とはクロマニヨンズから話がそれた。ただ、真島はゲッツの本を結構読んでいたとのこと。
この曲自体は、僕はそれほど好きではない。出だしから「空き缶けり上げはじまりはじまり」の辺りがこの曲のピークのように思う。サビの部分は伸びれず尻すぼみしている感が否めない。
二曲目の「東京ジョニーギター」も映画「ROBO☆ROCK」の主題歌になっている。アルバムの二曲目というのは重要な位置にあると思うが(柔道団体戦の次鋒戦が重要であるように)、この曲は見事にその重役を務めあげていると思う。それにしても真島の曲には「ジョニー」という名前がよく出てくる。それはもう25年ほど前の「ジョニーは戦場へ行った、僕はどこへ行くんだろう」という歌詞から繋がっている。
そしてなんと言っても三曲目「悲しみのロージー」。僕が大好きな曲だ。完璧な歌詞。この手の詞は、真島が(そして僕が)目指す最高レベルの位置のものだと思う。それをヒロトが書いてしまったのだ。僕はこの歌を聴いた時「やっぱりヒロトは天才だ、とてもかなわない」と思った。多分真島もそう思ったんじゃないだろうか。真島にいずれ辿り着いて欲しい境地だった。そこにヒロトがサラッと辿り着いてしまった感じ。まったく100%僕の個人的意見ではありますが。AメロBメロの歌詞に比べてサビの歌詞が物足りない、と感じてもおかしくないところもあるが、それを感じさせず、むしろこれで良かった、これしかなかったと思わせられるのはそのメロディのせいだろうか。それとも彼らのロックのせいだろうか。とにかくケチの付けようがない最高の歌だと思う、僕は。
中盤はチョットユルイかな。「こたつねこ」「うめえなもう(吉野家のCMに使われてましたねぇ)」など面白みはあるし、嫌いじゃないが。・・ただ後半また盛り返してくる。
まずは「夢の島バラード」。このアルバムで好きな曲を三曲あげよ、と言われれば大抵の人はその三曲の中に「夢の島バラード」が入って来るんじゃないだろうか。僕も好きな曲。ただ歌詞はあまり意味が分からないのも事実。それでもカッコ良さがその無理解を上回ってしまう。
そして続いての曲「レフュージア」。これもイイっすね。婆さんになったマリリンに焼酎を呑ませようとする真島は最高です。ジイさんになったエルビスにも何かを呑ませて欲しいもの。一体何を呑ませるんだろうか。
そして「ゼロセン」ですね。僕が嫁と恋愛中に、その恋愛のテーマ曲としていた歌だ。マシンガンの弾はもちろん嫁以外に使うつもりはない。全部嫁に捧げたいと思っている。なんと言ってもゼロセンから生まれたゼロセンの子どもであるから(ちなみに僕は今永遠のゼロを読んでいる)。「ゼロセン」は僕の大好きな、とても大好きな一曲だ。
「いきなりくる」も悪くない。ちょっと特殊な不思議な曲だ。それは名曲「ゼロセン」から名曲「紙飛行機」へと続く架け橋のようでもある。当時僕は「紙飛行機」がクロマニヨンズの曲の中で一番好きだった。まだセカンドまでしか発表されていない時点での話であるが。でも、今は違うし、言うならば今では当時もちろんすでに発表されていた「タリホー」や「クロマニヨンストンプ」なんかの方が好きになってしまった。「悲しみのロージー」や「ゼロセン」の方が今ではずっと好きだ。なぜだろう?、不思議だ。当時も歌詞がそれほど良いとは思わなかった。何を言わんとしているのかもイマイチ分からなかった。それでも「紙飛行機」が好きだった。一番好きな曲だった。