クロマニヨンズを(そして「MONDO ROCCIA」を)君は見たか

四枚目のアルバム「MONDO ROCCIA」は完成度として「CAVE PARTY」を越えたと言うのが僕の意見だ。越えた、というのは少し大袈裟か。僕は「MONDO ROCCIA」の方が好きだ、という話であるだけだが。
一曲を一曲を戦わせた場合、もしかしたら「CAVE PARTY」が勝つかもしれない。ただアルバム全体としては「MONDO ROCCIA」が勝っているように思う。まぁここでも勝ち負けではないですけど、言葉のアヤとしてね。
一曲目の「ジャングルジャミン」。文句なしにカッコいい。だがこれが一曲目でなかったならばどうであろうか。それほど好きではなかったかもしれない。一曲目でこそ生きる曲。例えば「クロマニヨンストンプ」もアルバムに入るとすれば、間違いなく一曲目であろう。そういった種類の曲もある。クロマニヨンズではヒロトが曲順を決めているようであるが、それはやはりとても大事なようだ。
そして二曲目の「グリセリン・クイーン」。僕はもしかしたらクロマニヨンズの曲の中で一番好きな曲かもしれない。間違いなく五本の指には入る。何が好きだってあのメロディだろう。ヒロトがライブで「グリセリン・クイーン」の前にやる「オー」の練習はこれから始まるその曲を思わせ僕を堪らなく興奮させる「オー、グリセリン・クイーンが始まるぜ」と。
歌詞は特別大したことを述べてはいない。それでもなんか好きなんだよなぁ。
そして三曲目「鉄カブト」。とりあえずこの曲名にどんな歌か想像はつきにくい。しかし、聴いてみてヒロトのその才能にぶっ飛びますなぁ。

あの人の思い出は 守ってくれ鉄カブト
命はいい 記憶だけは 守ってくれ鉄カブト

ホント最上級の表現だと思う。鉄カブトをかぶるのはもちろん命を守るためだ。それなのに、頭を叩かれ命を奪われても、あの人との思い出だけは失いたくないと、命を守るためにかぶっているんじゃない、あの人との記憶を守るために僕は鉄カブトをかぶっているのだと。実際はかぶってはいいないさ、もちろん。でも、このあの人への想いの切なさ・・・分かりますねぇ。
「フンカ―」も嫌いじゃない一曲。僕の長男もよく歌っていた。そして五曲目の「炭酸」。この炭酸って一体なんのこと?とファンの間では話題になっていたとか。当時某アイドルが覚せい剤を使用し逃亡。それで覚せい剤のことじゃないかという人もいたし、いやいやビールのことだろうと言う人もいた。でも僕から言わせればこれは、まぁ例えば「ロック」のことじゃないだろうか。ロックってウイスキーのロックじゃないっすよ。ロックンロールのロックっす。でもそれはあくまで例えばであって、俳優志望の夢追い人にとっては、誰かの芝居のその演技が炭酸であったりしたかもしれない。絵描き志望の彼にとってはダリの絵が炭酸であったかもしれない。料理家を目指す者にとっては先人の料理への発想が炭酸であったかもしれない。・・・・でも、やっぱなんだかんだ言っても「ロック」がこの歌詞に一番しっくりきますな。
このアルバムも中盤は若干ダルイかなぁ。ヒロトの決める曲順はそういう傾向にあるようにも思う。
「酒じじい」の「もう一杯ちょうだいな」のフレーズは、今でもアンコール時のコールに使われたりしているようだ。ただ、本物の田舎者の僕から言わせてもらえばヒロトの訛りもまだまだです(笑)。
そして「突然バーン」と「恋に落ちたら」のラブソング二曲。どっちも好きだが、「恋に落ちたら」の方は少し勿体無いと思うのは僕だけではないはず。恋に落ちたら、「あのね」って彼女になんでも伝えたくなる恋心を表しているんだろうけど、メロディが良すぎるため勿体無いんだよなぁ。実験的な歌詞であるから、もうチョット失敗作のメロディで実験して欲しかったなぁ(笑)。この楽曲に真島に本気でガっツリ歌詞を付けて欲しかったなぁ(誤解を恐れずに言ってます)。「突然バーン」の方は最高っすね。ただ欲を言えば二番にもAメロ欲しかったなぁ。直径30センチあなたの顔が僕には無限の宇宙に見えたって、分かる分かる、特に学生時代の恋ではね。
最後の曲「エロこそすべて」。女にモテたいからバンドをやっている。女にモテたいから詩を書いている。女にモテたいから本を読んでいる。女にモテたいから野球を頑張っている。厳しい練習だって、女にモテたいから頑張れる。今日チョットサボりたいけど、サボってしまえば女にモテそうもないから頑張る。不良ぽくした方が女にモテるかも。真面目すぎては女にモテないかも。女にモテたい。そのことが僕を突き動かしている。ダウンタウンのまっちゃんもいつか言っていた「結局は女にモテたいから笑わせている」と。分かります。エロこそすべてですから。