クロマニヨンズの「YETIvsCROMAGNON」が呼んでいる

最新アルバムの出来は抜群だ思う。前作同様ヒロトの気合いが半端ないのはその歌声に表れている。なんと言ってもハズレ曲がない。ハイロウズ時代からずっと、アルバムの中には必ずと言っていいほどハズレ曲があった。時には数曲ハズレがある場合もあった。しかし、今回のアルバムにはそれがない。もしもあげるとすれば、唯一「ホッテンダー」か。でも、それほど極端にハズシている分けではない(むしむし軍軍歌に比べれば大分良い)。「団地の子供」は、このアルバムに不釣り合いと言えばそのようにも思える。アルバムに気色が合わないような感じか。ただ、曲自体はこれも悪くない。
前作同様一曲目から五曲目までは80点以上の出来だろう。特に僕はタイアップを受けた一、二曲目よりも三曲目以降の三曲が好きだ。「人間マッハ」はスピード感的に前作の「欲望ジャック」に対抗しているように思う。その速度感は似ててもまるで対極にあるかのような二曲。例えるならば東の「欲望ジャック」西の「人間マッハ」と言ったところか。どちらも聴いててスカッとするところは共通している。
「涙の俺1号」はこれまた独特の世界観に彩られたヒロトワールド全開の曲。ライブでも激盛り上がること必死。それに引き換えライブでは予想を下回った感のあったのが「チェリーとラバーソール」だ。僕の周りでも人気の曲だが、ライブ後共通の感想が「チョット拍子抜けした」だった。期待していた分のギャップだと思うが。「自転車リンリンリン」なんてライブでは異様に盛り上がる、これもまたギャツプか。
「日本の夏ロックンロール」は僕は好きだけど、チョット狙い過ぎかな?「炎」と「燃え上がる情熱」のシングルよりやって来た二曲は、「炎」と「燃え上がる」から来ているのかイメージが被る。「炎」はヒロト「燃えあがる情熱」は真島の曲だが、同時期にこの二曲が出来たのもまた奇跡なのかもしれない。
「ヘッドバンガー」は意外に良い。この手の曲名の歌はハイロウズ時代より結構あるが、どれもあまり好きではなかった僕(ホッテンダーとかズートロとか)。でもこれはいいねぇ。ただ、なんか似た曲がハイロウズのバームクーヘンの中にあったような気がしないでもないが。
最後に「南から来たジョニー」。ジョニーだからもちろん真島が作った曲だ。夢を追って東京へと出て来た若者の歌。僕にはこのジョニーのモデルがヒロトの若かりし頃に思えて仕方がない。ジョニーが来た場所はスカイツリーで東京だと分かる。ヒロトがやって来た頃にはもちろんスカイツリーなんてなかった。でも、そんなことはどうでもいいのだ。むしろヒロトの過去と、過去のヒロトのような君とを混同させてそこに勇気を生み出すがごとき歌だと思う。現実にはできないが、歌だからそれが出来るのだ。・・・・と勝手にそのように思いこんでしまうと面白い。アルバムについてきたDVDの「南から来たジョニー」を観ていると、ヒロトがまるで「南から〜来た〜ヒロト♪」と歌っているように思えてくるから。しかもなぜかヒロトは二ヤケてとても照れ臭そうだ。
ところでブルーハーツハイロウズも、オリジナルアルバムは八作目で終了している。クロマニヨンズも次で八作目。さて、どこに行くのかクロマニヨンズ