拝啓村上春樹様

色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」を読んだ。ネット上では賛否両論渦巻いているようであるが、僕の感想は一言で言えば面白かった。主人公多崎つくると僕は同い年で、だがそのことから来る何かが特にあった分けではない。が、村上春樹の小説の中でも僕はこの小説は好きな部類に入る。初めタイトルを見た時は、多崎つくるは色を判別できない障害を持っているのかな?と想像したが、その理由はまったく見当違いで笑えた。彼が、この小説で言うところの巡礼に行き、足音が近付く場面では僕まで緊張した。最後の巡礼も、僕も10代の頃の友達(?)を思い出し、切なくなった。この小説を読んで、巡礼へと出掛ける人も結構いるのではないだろうか。僕も状況次第から来る思い付きで出掛けて行くかもしれない。
一つだけ村上春樹氏にお願いがある。小説を書く都度新たな挑戦をしている村上氏(例えば10代の主人公とか三人称とか)、次の小説の主人公はぜひ情熱の塊のような男にして欲しい。いつも冷静に自分を分析しながら淡々としている村上春樹の小説の主人公。もう自分を分析なんて決してできないような、熱い、情熱マン。そんな主人公の村上春樹作品が僕は読みたい、一度だけでいいので。・・・・というのも今回のつくる君がある人に「情熱的な面もあるのね」的に言われていたけど、僕にはその場面のつくる君が、どうしても情熱的には思えなかったからだ。
色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」、もう一度読もっかな。