あなたはいっぱいいてあなた

分人主義という言葉がある。・・・いや、実際はないのだろうが、最近平野啓一郎が言っている言葉で、あるのだ。分人とは個人の相対ということだが、どういうことかと言うと・・・人は例えば上司の前での自分、友達の前での自分、家族の中での自分はその態度も性格も違う分けで、じゃぁどれが本当の自分なのだろうか、と。昨今流行っている「本当の自分探し」とかってあるけれど、先に述べた状況によって態度も性格も違う自分も、どれも自分であると。それが分人であるのだよと、まぁそういうことですね。どれが本当の自分か、ではなくて、どれも本当の自分だよと。一旦分けて考えられれば楽なのでは、と。例えば学校で苛められている自分(分人)がいて、部活動では楽しく頑張れている自分(分人)がいて、家族の中でも居心地が良い自分(分人)がいたとして、個人という考えから行くと学校での苛めが全てに浸透し生活すべてを腐敗させがちだが、それらを分人というもので捕え、学校で苛められている自分(分人)だけを別に停止させてもいいのではないかというもの。そうすれば彼彼女の日々は素敵なものになるし、それはやはり素敵なことのように思える。

平野啓一郎は好きですねぁ。年齢も僕の一つ上で、なんか嬉しい。

僕が高校生の頃、自分は多重人格ではないかと悩んでいた頃、テレビに映った辻仁成が「自分には多重性がある」と言ったのを聞いてホッとした。
分人という考えは、さらにたくさんの人を救うものだと思う。それはまた、個人を大切にした考えでもあるように思える。