ジョニーは戦場へ行き、ジミーはアメリカへ行ったが、僕は結局どこにも行かなかった

ブルーハーツのセカンドアルバムに「ラインを越えて」という歌がある。真島作詞作曲にて、ブルーハーツの中でも真島がヴォーカルを務める初ソングとなっている。この歌の歌詞が実に強烈だ。「満員電車の中、くたびれた顔をして、夕刊フジを読みながら、老いぼれてくのはゴメンだ」とか「誰かが使いこなす、本音というタテマエ、僕はラインを越えて確かめたいことがあるよ」とか。ちなみに夕刊フジは廃刊となりましたが、それは今はどうでもいい話。その強烈な歌詞達の中でも、最も印象的な歌詞とも言えるのが「ジョニーは戦場へ行った、僕はどこへ行くんだろう」という部分ではないだろうか。いや、そんなこともないんだろうけれども、中学時代に友達の中で話題になった部分であり、それで僕にとっては特別な歌詞であるのかもしれない。
「ジョニーは戦場へ行った」というのはジョルトン・トランボの小説のタイトルだ。反戦を強烈に綴り、その為発禁にもなったはず。
ブルーハーツに酔いしれていた中学時代の僕らのクラスに、ある日「夏の文庫本100冊」みたいな感じでやって来た本の群れの中に、「ジョニーは戦場へ行った」はあった。さらに言うと、真島のソロ曲「砂丘」の歌詞に出てくる「阿Q正伝」もその中にあった。僕はその二冊を、こっそり拝借した。数十年経った今でも、僕の本棚にその二冊はある。僕がその二冊を実際に読んだのは高校を卒業してからだった。数年間は本棚に突き刺さったままだったことになる。その二冊は確かに不穏な何かを漂わせていた。実際それは読破した僕の中に不穏な何かをもたらした。
ジョニーは確かに戦場へ行ったが、それは一体誰の罪なんだろうか。ジョニーの罪だろうか。人類の罪だろうか。戦場の罪だろうか。アメリカの罪だろうか。はたまた無罪放免なんだろうか。ジョニーは戦場へ行った・・ぜひ読んでください、アメリカン大統領、シリア閣下殿。
・・・・そして、まさかジミーがアメリカに行くなんて。