サヨナライツカ

小説を読んで、一度だけ泣いたことがある。読みながら感動して、やばい泣きそう、でも二十歳そこそこの男が本読んで泣くなんてかっちょ悪い、あっやばい、ぱちぱちぱちぱち(目をしばたく音)、あっ涙が・・・・で泣いてしまった分けだ。一度涙が出たらもう止まらなかった。泣いて泣いて泣きながら、もう涙が枯れ果てるまで泣いてしまおうと思った。・・・その小説の名は「サヨナライツカ」。辻仁成の恋愛小説の最高傑作と言えるかもしれない。
この小説は中山美穂主演で映画化もされている。監督は韓国の人だったと思う。相手役も韓国の人だったと思う。映画は正直面白くなっかった。本当はその数年前に、行定勲監督で映画化されることになっていたが、辻仁成となんか揉めて幻に。行定勲の「サヨナライツカ」が見たかった。

辻仁成の小説で僕が自信を持っておススメするのは、恋愛系なら「サヨナライツカ」、「冷静と情熱のあいだ」、青春小説なら「旅人の木」、純文学なら「母なる凪と父なる時化」、「海峡の光」、楽しく読むなら「五女夏音」、そして一番単純に面白いのは「ニュートンの林檎」だ。

生きているうちにもう一回位は、小説を読んで号泣してみたい。けれども、もう二度とないような気がする。