しゃべり場の果てに

十年以上前に始まった「真剣10代しゃべり場」は、何年か前まで放送されていたはず。その昔僕はこの番組を、欠かさず見ていた(見られないときは録画していた)。番組の内容は、十五人ほどのしゃべり場メンバーが、毎回持ち回りで議題を持ってきて、それについて話し合うという番組。真剣、とつくだけあって、毎回熱い討論会となる。議題持ち寄りが一回りすると(週一回の放送だったので、つまり十五週です)、メンバーが総入れ替えとなる。十五人の十代メンバーの中に、毎回ゲストで大人の人が一名加わる。中村うさぎとか、平田オリザなんか来てたなぁ・・・・。僕が欠かさずに見ていたのは、一期生から三期生までだ。この辺りまではとても面白かったが、四期生からはつまらなくなり見なくなった。
しゃべり場メンバーのそのメンツがとても重要となる分けだが、とにかく一期生は個性派ぞろいで面白かった。なんと言っても「前島くん」ですな。彼は当時十七歳だったが、これでもかというほど真実を持っていて、当時二十三歳くらいの僕をビックリさせた。彼の発言は、どこをとっても素晴らしかった。どこを切っても金太郎の顔が出る感じかな。一期生の最終回でコメントを求められた時、彼は「有名になりたいです」と言った。彼の当時の夢は作家であり、彼ならば間違いなくなるだろう、世に出てくるだろうと思ったものだ。・・・・が、彼の名をその後聞くことはなく、その数年後、しゃべり場自体の最終回で、一期生から最終生までの代表を募って最後のしゃべり場が開催され、そこに前島が現れた。おお、前島だ、みたいな。議題を持ち寄ったのも前島で、どう生きていいか分からない的な悩みを打ち明け、あの頃の希望に満ちていた前島の面影すらないその悲壮感に僕はビックリした。すでに前島も二十代も半ばになっていただろうか、何期生かも分からない高校生や中学生にああだこうだ言われ、「そうかな」とか「いや、そうかも知れないけど」などと首を捻る前島くんを僕は見たくなかったっすよ。
「十で神童、十五で才子、二十歳すぎればただの人」とはよく言ったものだ。あれほどの才能も埋もれてしまう、かと思えばどうしようもないものが世に出たりもする。